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砥石に込められた職人魂

【初代のこと4-2】

<4回シリーズ>

こんにちは、河合工務店です。

〈刃の研ぎ具合いを見る初代〉

||インタビュー 孝会長、初代を語る||

「今の職人さんは、腕が悪くなった」

と言うのは、目が肥えている人。

そんな人さえ少なくなったかな。

昔は、家に手間暇かけた。

建て主さんも、職人も、つくった家は誇りだった。

でも、今じゃぁ工場で

加工したものを組み立てるだけ。

電気ドリルや、電気カンナでぱぱっとやる。

大工が腕を発揮するところがない。

しょうがないから、速さで競うしかない。

自然と、職人の手も荒くなる。

親父に一番言われたのは、

「道具は職人の命」ってこと。

とくに砥石は大切にしたね。

昔の砥石は「合わせ砥(ど)」と呼んでいた。

桟にはめた戸がすーっと滑るように、

砥石で研いだカンナの刃で木を削り微調整するから。

研ぎ方が悪いと、当然うまく仕上がらない。

冬、現場で砥石を濡らしたら、

そのままにして帰ると凍ってしまうので、

水を切ってボロ布でくるんだもの。

砥石は、とにかく高かった。

山から採掘する天然石でないとだめで、

半年から1年働いてお金を貯めないと買えない。

今のは人造砥石だから、精度が落ちる。

いや、近頃の大工は、刃を研ぎもしない。

「替え刃」といって、

切れなくなったら取り換えるだけ。

親父は、道具の扱いを見れば、

「この職人は大したことないな」と、

その腕を判断できた。

だから、そこらへんに道具を転がそうものなら、

殴られたね。

(聞き手/ライター上田隆)

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