砥石に込められた職人魂
2021年11月16日
初代のこと
【初代のこと4-2】
<4回シリーズ>
こんにちは、河合工務店です。
〈刃の研ぎ具合いを見る初代〉
||インタビュー 孝会長、初代を語る||
「今の職人さんは、腕が悪くなった」
と言うのは、目が肥えている人。
そんな人さえ少なくなったかな。
昔は、家に手間暇かけた。
建て主さんも、職人も、つくった家は誇りだった。
でも、今じゃぁ工場で
加工したものを組み立てるだけ。
電気ドリルや、電気カンナでぱぱっとやる。
大工が腕を発揮するところがない。
しょうがないから、速さで競うしかない。
自然と、職人の手も荒くなる。
親父に一番言われたのは、
「道具は職人の命」ってこと。
とくに砥石は大切にしたね。
昔の砥石は「合わせ砥(ど)」と呼んでいた。
桟にはめた戸がすーっと滑るように、
砥石で研いだカンナの刃で木を削り微調整するから。
研ぎ方が悪いと、当然うまく仕上がらない。
冬、現場で砥石を濡らしたら、
そのままにして帰ると凍ってしまうので、
水を切ってボロ布でくるんだもの。
砥石は、とにかく高かった。
山から採掘する天然石でないとだめで、
半年から1年働いてお金を貯めないと買えない。
今のは人造砥石だから、精度が落ちる。
いや、近頃の大工は、刃を研ぎもしない。
「替え刃」といって、
切れなくなったら取り換えるだけ。
親父は、道具の扱いを見れば、
「この職人は大したことないな」と、
その腕を判断できた。
だから、そこらへんに道具を転がそうものなら、
殴られたね。
(聞き手/ライター上田隆)
東京都中野区の河合工務店が自然素材での健康住宅設計やリフォームについて書きます。
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