なぜ脱合板なのか
貴重な資源が浪費される合板
合板は大変便利で使用しやすい建材ですが、問題もいくつかあります。
日本では、建築、土木、家具等に各種の合板が使われ、毎年高さで積み上げると富士山の高さの900倍、立て長に並べると月と地球を2往復する位の数が毎年使用され、非常に短いサイクルで粗大ゴミとして処分されています。これだけ想像出来ないくらいの合板どこから来るのでしょうか…
今までその多くは東南アジアの貴重な熱帯材が一極集中的に使用されてきました。人権、地域の環境、生態系等全く無視された強引な伐採や、直径15cm以下の木、木を伐れない国立公園内の木まで、反合法的に伐採された木が日本で使用されてきました。
1ヘクタールあたり数本しかない大きな木が伐られ、搬出の為には大きなブルドーザーで道をつくります。伐採された大きな木を出す為に、ブルドーザーが廻りの立木をなぎ倒します。伐採業者の方達は皆伐はしてないと言いますが、数本の大きな木を出す為に大切な土壌が踏み固められ、結果的には皆伐されるのです。
熱帯材の有機物を含んだ層は、非常に薄く表土はわずか数センチ、大量の雨の多くは木に貯えられますが、木が伐られ雨が降り薄い表土は流され、残った固い表土にはラテライトと呼ばれ、植物も木も育たない沈黙の森が広がるだけです。
現在熱帯材の多くは皆伐されつくし、次のシフト先は北米、カナダ、シベリヤの針葉樹が伐採されています。人権や環境破壊、温暖化につながる他国の森林伐採は、取り返しのつかない前にやめるべきです。
たくさんの薬剤が使われている合板
合板のもう一つの問題点は、合板にするにはホルマリンや薬剤が接着剤として必要となることです。
この様にして出来た合板の上に、フローリングの場合は、紙2枚位の厚さの木をスライスした単板を強い接着剤でプレスし、表面を保護する為に強い塗装で加工します。さらに合板には、虫が付かないようにと農薬を使っての防虫加工もされます。
私達が合板を使用しないのは、次の4つ理由からです。
- 他国の貴重な限りある森林資源であること
- 人権や環境を無視した入手方法であること
- 接着剤、防虫剤、塗料等にホルマリン・農薬・薬剤等の問題があること
- 湿気に弱い合板は高温、多湿の日本には合わないこと
選挙に使用される大量の合板
熱帯材のワランベニヤは安くて使いやすく、特に家づくりには欠かせない物で、今でも大量に使用されています。
今どき合板を使わない工務店は非常に珍しいです。私達も出来たら使いたい所がいっぱいありますが、環境に配慮し、特にワランベニヤだけは絶対使用しません。
しかし短期間でしか使用されない選挙の為に、大きなワランベニヤの掲示板がよく使用されています。
一部では再生ボード等も使用されていますが、貴重なワランベニヤが日本全国選挙の度に無意識に使用されている。選挙の度になぜワランベニヤでなければならないのか、国や行政にもいくたびか抗議もして来ました。
中野区では前向きに話を聞いて頂き、数ヶ月後の掲示板はワランベニヤの使用を止め、これからは再生ボードに切り替えるとの事。そんな事が新聞の記事にもなりました。
今大切な事は、無関心、無責任では無く、一人一人が自覚を持って行動する事が住みやすい社会や家創りにつながる近道かと思います。
ワランベニヤを使用した掲示板