ちょっと親子で一言
親父は明治・大正・昭和・平成と職人一筋に生き、平成17年3月に他界。
私はこんな頑固親父に仕事は盗んで覚えろ、と言われ育った二代目。
現在、三代目が修業中。
この地域密着型のチラシは昭和55年~平成4年までの間、中野区全域で39種100万枚以上配布し、色々とこの業界で話題になったものです。その一部をご紹介します。チラシの画像をクリックしますと、大きい画像を見ることができます。
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電気鋸は材木屋の機械でさぁ。この手鋸はもう30年。近頃じゃ目立ての出来る若ぇ者が少なくなっちまって……
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木造はせいぜい20年だって?とんでもねぇ。良い仕事さえすりゃ50年以上はたっぷりもつってもんでさぁ……
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木は生きものでさぁー。やたらボルトでしめたんじゃあ木が弱っちまう。釘一本の位置と打ち方が長持ちの秘訣。
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ノミはあっしの指。もう、ひとりでに動いてくれます。でもまあ、ツメはつぶれ、関節ばかりでかくなっちまって。
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ここにいる時だけは堅てぇ話はやめよう。木の香りは俺の気持ちをなごませてくれる。ありがてぇこった。
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中野で何軒建てたか、そんな数は憶えてられねぇ。でもまあ、こんなに長げえのはもうあっしだけだろう――今度は倅の番だ。
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30年もかじられればいい加減、あっしの腕も細くなる。いつの間にやらこいつもそろそろ一人前。
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木の良さは下駄をはくと解る。このなんとも言えない乾きと温もり――この素足の感覚を味わえるのは日本人だけだ。
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土台と柱は檜。梁と桁は松。目が取っているか、干し割れはないか――これが見分けられなくなったら大工はやめろ。
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この柱にカンナをかければ五百年前の木の香りが蘇る。木は長寿。ちょっとやそっとじゃへこたれない。
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ここは歌舞伎の岩井半四朗さんの稽古場。踊りやすい床は木以外にない。硬すぎても、柔らかすぎてもいけない。
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大事な話は和室に限る。ガラスやタイルの室じゃチカチカしてまとまる話もまとまらねぇ。
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材木の見立てと使い方。それに釘をどこにどう打つ。ちったあそっとの地震じゃ、あっしの築った家はたおれねえ。